「授業、ちゃんと分かった?」と聞くと、決まって「うん、大丈夫」。ところが返ってきたテストを見ると、手つかずの単元がそのままになっている――そんな経験はありませんか。
二学期も中盤、中間テストが終わり、授業内容が一段と難しくなる10月は、「分からない」を言い出せないまま積み残しが増えやすい時期です。東上線沿線の中高生を見ていても、成績が伸び悩む子の多くは「理解力が低い」のではなく、「分からないと言えない」ことで立ち止まっています。
なぜ「分からない」と言えないのか
- 恥ずかしさ:「こんなことも分からないの?」と思われたくない
- 親をがっかりさせたくない:頑張っている姿を見ているからこそ、弱音を言いにくい
- 何が分からないのか自分でも説明できない:もやもやしたまま言葉にならない
- 過去に否定された経験:「前も教えたでしょ」と言われた記憶がある
- 聞くより黙って済ませる方が楽:その場をやり過ごす癖がついている
つまり「大丈夫」という返事は、本心というより身を守るための言葉であることが多いのです。
保護者がやってしまいがちな関わり方
- 「分からないことは先生に聞きなさい」と、方法だけ伝えて終わる
- 「なんで聞かないの?」と理由を問い詰める
- 「前に教えたでしょ」「簡単じゃない」と、難易度を評価してしまう
- 答えを教えすぎて、子どもが考える前に頼るようになる
悪気のない一言でも、子どもにとっては「聞いたら責められる」という学習になってしまいます。
家庭で取り入れやすい声かけと仕掛け
- 「大丈夫?」ではなく「今日いちばん難しかったのは?」と聞く:分かる・分からないの二択を避け、具体的に答えやすくする
- 「分からない」を歓迎する言葉を先に伝える:「分からないところが見つかるのは、伸びる準備ができたということだよ」
- 3段階で自己評価させる:○(説明できる)△(なんとなく)×(手が止まる)をノートの端に書くだけでも十分
- 「どこまで分かった?」を聞く:「どこが分からない?」より、分かった地点から探す方が答えやすい
- 親も「分からない」を見せる:「お母さんも最近これ調べたんだ」と、聞くことが普通だと示す
- 質問のハードルを下げる:付箋に「?」だけ貼っておき、後で先生や講師に聞く形でもよい
ポイントは、「分からない」と言えたこと自体を認めることです。解決できたかどうかは二の次で構いません。
ありがちな失敗パターン
- 子どもが勇気を出して打ち明けた直後に、説教や不安の言葉を重ねてしまう
- 「じゃあ今から全部教える」と、夜遅くに長時間の解説を始める
- 分からない原因を「努力不足」と結びつけてしまう
- 打ち明けてくれた後、数日たってから何度も確認し、プレッシャーになる
教えることに力が入りすぎると、子どもは「次から言うのはやめよう」と感じることがあります。まずは受け止めて、次の一歩を一緒に小さく決める程度で十分です。
学校・塾・家庭で「聞ける場所」を分けておく
- 学校の先生:授業直後や休み時間に、一問だけ聞く
- 塾や家庭教師など:つまずきの原因を整理してもらう
- 家庭:内容の解説より、「聞けた?」と気持ちを受け止める役
家庭がすべてを教える役を担う必要はありません。保護者は「安心して分からないと言える場」であることが、いちばんの役割です。
編集部からのメッセージ
指導の現場では、質問が多い生徒ほど伸びる、という実感があります。逆に、静かで「大丈夫です」と答える生徒ほど、実は迷っていることがよくあります。
もしお子さんが今夜「分からない」と口にしたら、それは信頼の表れです。まずは「教えてくれてありがとう」のひと言から始めてみてください。
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