夜遅く塾から帰ってきた子どもに、つい「で、今日はどうだったの?」。受験生を支える保護者なら、応援のつもりで口にした言葉が、思わぬ反応を招いた経験は一度や二度ではないと思います。
入試本番まで半年を切る10月は、子どもも保護者も気持ちが張りつめやすい時期です。この記事では、良かれと思って言ってしまいがちな3つの声かけと、その言い換えを整理しました。
なぜ、応援の言葉が裏目に出るのか
受験生の多くは、保護者に言われなくても「焦り」や「不安」を十分に抱えています。そこへ追い打ちのような言葉が重なると、次のような状態になりやすくなります。
- 「分かっているよ」と心を閉ざし、会話が減る
- 失敗を隠したり、できているふりをしたりする
- 机には向かっていても、気持ちは勉強から離れてしまう
言葉の中身よりも、「見張られている」「期待に応えなければ」という圧として伝わってしまうことが原因です。
避けたい声かけ① 「あと◯か月しかないよ」
カウントダウンは、本人がいちばん意識しています。保護者から言われると、励ましではなく責められているように聞こえがちです。
- 避けたい例:「もう時間ないんだから」「あと半年で大丈夫なの?」
- 言い換え例:「今日はここまで進んだね」「次の一週間で、何を一緒に整えようか」
残り期間ではなく、今日できたことに目を向けると、子どもは次の一歩を考えやすくなります。
避けたい声かけ② 「〇〇くんはもう◯◯らしいよ」
他の子との比較は、自己肯定感を下げる最大の原因のひとつです。悪気はなくても、「自分は足りない」というメッセージになります。
- 避けたい例:「同じ塾の子は過去問を始めたって」「お兄ちゃんは、この時期もっとやっていたよ」
- 言い換え例:「あなたの今のペースで、何を優先したい?」
- 比較するなら、先月の本人と今月の本人だけに
避けたい声かけ③ 「で、結果はどうだったの?」
テストや模試のたびに、帰宅直後に点数や判定を聞くのも要注意です。本人がまだ気持ちを整理できていない段階で聞かれると、答えること自体が負担になります。
- 帰宅直後は、食事・入浴・休憩を優先する
- 聞くなら「お疲れさま。話したくなったら聞くよ」と、本人の準備ができるまで待つ
- 結果は、本人が見直しをした後に一緒に確認する
家庭で取り入れやすい「安心を渡す声かけ」
- 「ご飯できてるよ」「今日もお疲れさま」など、勉強以外の声かけを増やす
- 学習内容に口を出すより、「何か手伝えることある?」と任せる
- 塾帰りに駅まで迎えに行く車内は、あえて勉強の話をしない時間にする(東上線沿線の志木駅やふじみ野駅などから帰宅する家庭では、特にこの時間が貴重です)
- うまくいかない日は、「そういう日もあるよね」とだけ返す
ありがちな失敗パターン
- 言い過ぎた後、謝らないまま次の日を迎える(→ 一言「昨日は言い過ぎたね」で十分です)
- ネットや口コミの情報を見て、急に勉強方法を変えさせる
- 保護者自身の不安を、子どもへの確認という形でぶつけてしまう
なお、受験制度や日程は年度によって変わります。最新情報は、埼玉県教育委員会や各学校の公式発表で必ずご確認ください。
編集部からのメッセージ
長年、受験生と向き合ってきた講師の立場から言えるのは、追い込みの時期に子どもの力を引き出すのは、安心して帰れる家庭の存在だということです。多くの生徒が、最後の最後に踏ん張れた理由として「家で何も言われなかったこと」「ご飯がいつも通りだったこと」を挙げます。
言葉を選ぶのに疲れてしまう日があっても、それは真剣に向き合っている証拠です。完璧を目指さず、「今日は何も言わなかった」という日があっても大丈夫。お子さんは、きっとその姿勢を見ています。
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