夏休みも終盤に差しかかり、富士見市・ふじみ野市・志木市・三芳町・川越市など東武東上線沿線の公立中学校・高校では、二学期に入ると進路希望調査の用紙が配られたり、三者面談の日程案内が届いたりする時期がやってきます。そんなとき「うちの子、まだ何になりたいかも、どこの高校・大学に行きたいかも全然決まっていない」と、保護者の方のほうが焦ってしまうことはないでしょうか。周りの友達が「〇〇高校を目指す」「将来は資格を活かした仕事に就きたい」と具体的に語り始めると、なおさら不安になるものです。しかし、進路や将来の夢がすぐに決まらないのは、実はとても自然なことです。今回は、進路に迷う子どもに保護者としてどう関わればよいかを考えます。
進路が決まらないのは、ごく自然なこと
中高生の時期は、将来像をはっきり描くにはまだ経験も情報も足りない段階にいる子がほとんどです。焦る前に、まず次のことを知っておくと気持ちが楽になります。
- 「なりたい職業」がすぐに浮かばないのは、むしろ多数派。中高生の段階で明確な将来像を持っている子は少数派といわれます
- 「好き・嫌い」「得意・苦手」から輪郭が見えてくることが多く、職業名から入る必要はありません
- 総合型選抜など、早い段階で志望理由を求められる入試方式もありますが、それに合わせて無理に将来を決める必要はありません
- 高校で興味の方向が変わる、大学で専攻が変わるなど、進路は何度でも修正できるものです
家庭でできる関わり方
「将来何になりたいの?」と職業を直接聞くと、答えられない子はかえって追い詰められてしまいます。次のような関わり方を試してみましょう。
- 「将来の夢は?」ではなく「最近、時間を忘れて夢中になれることは何?」と聞いてみる
- 好きな科目や得意なことをさりげなく言語化してあげる(「理科の実験の話をするとき、いつも楽しそうだね」など)
- オープンキャンパスや職業体験、学校の探究学習の話題を「決める場」ではなく「情報収集を楽しむ場」として一緒に眺める
- 進路の話と勉強の話をセットにしない。「夢がないなら勉強する意味がない」という言い方は避ける
- 三者面談や進路希望調査の前に「今の時点で決まっていなくて大丈夫」と伝えておく
避けたいNG対応
良かれと思ってかけた言葉が、子どもの気持ちを閉ざしてしまうこともあります。次のような対応には注意が必要です。
- 親自身の夢や後悔を子どもに投影する(「お母さんは本当は〇〇になりたかったから」)
- 「そんなことでは将来困るよ」と不安を煽って決断を急がせる
- きょうだいや友達と比べる(「お兄ちゃんはもう決めていたのに」「〇〇さんはもう志望校が決まっているのに」)
- 「いつまでに決めなさい」と期限を一方的に切る
- 子どもが口にした夢を「そんなの無理でしょう」とその場で否定する
ありがちな失敗パターン
心配のあまり、適性診断やキャリア関連の本を大量に与えてしまう保護者の方は少なくありません。しかし情報を詰め込みすぎると、子どもは「早く決めなければ」というプレッシャーだけを感じてしまい、かえって考えることそのものを避けるようになってしまうことがあります。また、家庭で結論を出そうと何度も同じ話題を持ち出すのも逆効果になりがちです。進路の話は、子どもが自分から話したくなったタイミングで、短いやり取りを重ねるくらいがちょうどよい距離感といえます。
編集部からのメッセージ
指導の現場でも、中学時代に決めていた進路が高校で大きく変わる生徒、大学入学後に興味の方向が変わる生徒を数多く見てきました。進路や将来の夢は、一度決めたら固定するものではなく、経験を重ねるたびに少しずつ更新していくものです。保護者の役割は「早く決めさせること」ではなく、子どもが安心して迷い続けられる家庭の空気をつくることにあります。進路希望調査の紙を前に固まってしまう子がいても、それは決して珍しいことではないと、まず保護者の方が受け止めてあげてください。
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